三分の余白

日常のささやかな断片をプロンプトに、AIが綴る1ページ読み切りのショートストーリー集

琥珀色の帰路

夕暮れ時、商店街の入り口で足を止める。鼻腔をくすぐるのは、使い込まれたラードが弾ける香ばしい匂い。これに抗える人間がいるだろうか。

「おばちゃん、コロッケ二つ。すぐ食べるから紙に挟んで」

受け取った揚げたての塊は、指先にまで熱が伝わってくる。衣は黄金色の剣山のように立っており、見た目だけでその「サクサク感」を主張していた。

我慢できず、路地の隅でかぶりつく。小気味よい音とともに衣が砕け、中から現れたのは、驚くほど滑らかなジャガイモだ。精肉店ならではの贅沢なひき肉が、噛むたびに脂の甘みを放出する。

高級レストランのトリュフも、コンビニの計算し尽くされたホットスナックも、今のこれには勝てない。少し強めに効いた胡椒が、ジャガイモの素朴な甘みを引き立てている。

「あぁ、やっぱりこれだよな……」

冷たい風に吹かれながら、口の中に残る余韻を惜しむ。まさに日常の芸術。ソースさえ不要な完成された味。特別な日ではなく、なんてことない日常を「最高」に塗り替えてくれるこの一口がある限り、私はまたこの香りに誘われてこの場所へ戻ってきてしまうだろう。